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G-Mark TALK 「JAL NEW SKYSLEEPER SOLO」
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G-Mark TALK 「JAL NEW SKYSLEEPER SOLO」
JAL × 財団法人 日本産業デザイン振興会




JASとの統合、新しく打ち出したファーストクラス、ビジネスクラスのシート等、その活動がめまぐるしいJALグループ。その中で、新しいファーストクラスのシート「JAL NEW SKYSLEEPER SOLO」は2002年度グッドデザイン賞に応募され、みごとに受賞。起用したデザイナーは、オーガニックデザインの旗手と形容され、数々の有機的なフォルムのデザインをうみだしているロス・ラブグローブ氏。1年前から導入されたこのファーストクラスのシートの開発の話題を中心に、さらには企業のブランディングについてまで、宣伝部部長の板谷氏、ファーストクラスのシートの開発に携わった鈴木氏と日本産業デザイン振興会の矢島氏に対談形式でお話を伺いました。

 ファーストクラスのシートを作ることになったきっかけ

矢島 ――― JASとの統合に伴い、先日のCI発表をはじめ、連続してデザインを一新したファーストクラス、ビジネスクラスのシート等、JALグループさんはビジュアル的なコミュニケーション、宣伝プロモーション等において、ここ数年デザイン性を特に重視したイメージやブランド展開をされているように感じます。そして新たに導入されたファーストクラスのシート「JAL NEW SKYSLEEPER SOLO」が、本年度のグッドデザイン賞を受賞されました。そこで、今回はなぜJALグループさんがこのシートを導入されたのか。なぜ外国のデザイナーを起用したのか。そうしたところを中心に本日はお話をお聞きしたいと思います。
まず、このファーストクラスのシートを作る最初のきっかけと、英国のデザイナー、ロス・ラブグローブ氏を起用された理由からお話いただけますでしょうか。



鈴木 ―― もともとのきっかけはまず、デザイン的な問題についてお客様からコメントいただいてた部分もありまして、実際にもう少し新しいデザインが考えられないか、デザインで機能的な改善が出来ないか、そしてそれが新しい日本航空が売り出せるようなものとして作れないかということを考えていました。たまたまその当時が21世紀を目前にしていまして、しかも日本航空の50周年という時期も近かったのです。そこで、新しい日本航空を打ち出す、日本航空を引っ張っていけるだろうということで、ファーストクラスのデザインをしてみよう。と、思ったのが一番最初のきっかけです。
しかし、デザインをどうするかというのが、これがなかなか難しかったです。どのようなデザインが21世紀をリードしていくのか、という意味で私なりにデザイン業界をいろいろ調べてみたのですが、どこのデザイン事務所も気に入ったものがなくて…。そんな折、97年にロシアのセントペテンスブルグで行われたセミナーにラブグローブ氏が講師として参加しており、そこで彼は「今後のエアラインのデザインはもっと先進的であるべきだ」という講義をしていました。新しいだけでは私もあまり魅力を感じなかったと思うのですが、彼はオーガニックデザインというものを標榜していて、有機的なものあるいは自然界にある線というものが人間にとって快適に感じられるデザインだという考えをもっていました。実は私がヘンリー・ムーアの作品がとても好きで、そして彼もヘンリー・ムーアを敬愛している一人なのです。ご存知だと思いますがヘンリー・ムーアの彫刻はやわらかいフォルムで存在感のある、そういった作品ですよね。そういったオーガニックデザインなどの話を通して彼と共通するものがあったのだと思います。また、「どうして航空機という最先端の乗り物で最先端のデザインがないんだ。」という話を彼がしているのを聞き、確かにそうだなと思い、今の時代をもう一歩リードするものを考えてみよう。そういう形で進み始めたのが今回の経緯になります。



矢島 ――― 運行スタートの時期というのは決まっていたのでしょうか。また、実際にシートの開発にかかった期間はどのくらいだったのでしょう。



鈴木 ―― 運行スタートとして狙っていたのは、やはり日本航空の50周年であり21世紀に突入するにあたってですから、2000年のうちになんとか飛行機が飛ぶようにしたいというイメージはありました。
実際どういうコンセプトで進めるかという話だけでも最低2、3ヶ月ラブグローブ氏とやりとりをして、それから実際にデザインに取り掛かり、デザインが出来上がったらまた製作するのに時間がかかります。飛行機の部品ですので通常のプロダクトとはわけが違ってすんなりとはいかないですし、結局2年半〜3年ぐらいかかったんじゃないでしょうか。


 新しいファーストクラスに対する周囲の反応

矢島 ――― デザイナーをラブグローブ氏に決定するには、当然社内の経営の方々、上層部の方々に何らかのプレゼンテーションを行ったと思います。その時どういった反応をされたのかお聞きしたいのですが。



鈴木 ―― やっぱり驚きますよね(笑)。日本航空って保守的な会社で、万人に受け入れられるようなデザインをずっとしてきてまして、これほど思い切ったものを作ろうとした時に「本当にいいのか」というのはありましたよ。
ありましたけれど、やはり私が訴えたかったのは21世紀であり、保守的なものは脱ぎ去って新しい日本航空は変わっていかないといけないですから。「21世紀を進んでいくひとつのシンボルのようなものが作りたいんです。」と説得して、もちろん嫌だと言う人も出てきますけど、基本的には「やらしてやろうじゃないか」という感じにはなりました。
新しいものを提案するときは、どんなデザインの場合もそうだと思いますが。ファーストクラスのお客様に対して聞き取り調査をしました。そうすると、お客様の方があまり抵抗がなかったです。というのはやはり、皆さんご自分で乗られている車がそれなりのものに乗られていますし、シートのデザインも進んでいますよね。そういったお客様の方が大きな抵抗が無く「面白いじゃない」といってくれるくらいで、でも数十名にお聞きしてやはり1名「やめた方がいいんじゃないの」っていわれましたけど(笑)。それらの意見をもって全部正直に当時の役員の方々に伝えて、最終的には「嫌いな人もいるよね、でもやってみたら」ということを言ってくれましたね。



矢島 ――― 運行がスタートして1年が経過し、多くのお客様がご利用になられたと思います。実際にそこでのお客様の反応、評判はどうなのでしょうか。



鈴木 ―― 今まで問題があったところを基本的には改善していますから、例えば狭いとか、デザインがスッキリしていないとか、物を置く場所がないとか、そういった機能的な部分はクリアしたつもりですので、後はデザインの好き嫌いだと思っていました。ですから、基本的には皆様からご好評頂いています。実際に座席の方も8割以上は埋まっているはずですし。



矢島 ―― このシートを導入したことによって、サービスの仕方が変わったであるとか、働く方への影響というものはなにかありましたか。



鈴木 ―― もともと、前のデザインの時に非常に働きづらかったという問題がありました。なぜかというと、通路が狭かったり物を置く場所が無かったりなどです。それで、乗務員が働きやすい環境をつくろうということは念頭に置いていましたし、実際に働きやすくなっています。例えば、カートを押す時に床の継ぎ目の部分が引っかからないようにしたり、全体がまるいデザインですから前のデザインときのようにガタガタとぶつからないようにしたり、そういう意味で乗務員からはサービスがしやすくなったという声を聞いています。



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