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鯨津朝子
Tokitsu Asako


[ 略歴 ]
1965
  東京都生まれ
1989
  多摩美術大学絵画科油画専攻卒業
1991
  多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了
1997
  「ガスコーニュ・ジャパニーズ・アート・スカラシップ」の奨学金を受け、アジャン(フランス)で3カ月間の現地滞在制作を行なう
1999
  文化庁芸術家在外研修員として一年間渡仏
2000
  ポーラ美術振興財団の助成を受け一年間渡仏
現在、神奈川県横浜市在住

[ 個展 ]
1988
  ルナミ画廊(東京)
1989
  ギャルリ伝(東京)
1990
  コバヤシ画廊(東京)
1991
  西瓜糖(東京)
1994
  ギャルリ伝 + Gallery FLOOR2(東京) リビングデザイン・ギャラリー(東京)
1995
  西瓜糖(東京)
1996
  「軌跡」 工房“親”(東京)
「次元間の飛沫」 ギャラリーαM(東京)
「旋回する表象」 斎藤記念川口現代美術館(埼玉)
1997
  「ダイムラー・ベンツ・グループ アートスコープ
'97 / ガスコーニュ・ジャパニーズ・アート・スカラシップ」
アジャン美術館(アジャン、フランス)、スパイラル・ガーデン(東京)
1998
  「風の回廊――corridor in the wind」 ギャラリー日鉱(東京)
1999
  「drawing, in time and space」 巷房(東京)
コバヤシ画廊(東京)
「filament fragments」 ナディッフ(東京)
2000
  「work in progress」 シテ・アンテルナシオナル・デ・ザール(パリ、フランス)
2001
  Centre d'Arts Plastiques Albert Chanot(Ville de Clamart、フランス)
2002
  巷房+Space Kobo and Tomo(東京)
「work in progress」 現代HEIGHTS/gallery Den(東京)
2003
  「Lignes Ephemeres」 東京日仏会館(東京)
2004
  「Out of spaceー続いてゆく線」 横浜赤レンガ倉庫1号館(神奈川)

[ グループ展 ]
1989
  「表現の現場展 '89」 多摩美術大学上野毛校舎(東京)
「大谷地下美術展 '89」 大谷地下採掘場跡(栃木)
1990
  「オブジェ達展 '90」 藍画廊(東京)
「第3回ホルベインアクリラート展」 目黒区美術館(東京)
「ルナミセレクション」 ルナミ画廊(東京)
1992
  「MITO ANNUAL '92 《大きな日記、小さな物語》」水戸芸術館(茨城)
「空間と構想」 なるせ村田画廊(東京)
1993
  「神奈川アートアニュアル '93」 神奈川県民ホールギャラリー(神奈川)
1996
  「1996α」 なるせ村田画廊(東京)
2000
  シテ・アンテルナシオナル・デ・ザール(パリ、フランス)
2003
  「「本」の現代美術」 うらわ美術館(埼玉)
「「アート・スコープ」の12年――アーティスト・イン・レジデンスを読み解く」 原美術館(東京)
「まどわしの空間――遠近法をめぐる現代の15相」 うらわ美術館(埼玉)

[ 公共施設設置作品 ]
2002
  横浜にぎわい座(神奈川)

[ 舞台美術 ]
1997
  「歩く魚」[構成/演出:伊藤多恵] ランドマーク・ホール(神奈川)
1998
  「Madame Miroir」[構成/演出:長谷川佳子] セッション・ハウス(東京)

[ 出版(モノグラフ) ≫ bibliography ]
1996
  『次元間の飛沫』(ギャラリーαM 刊)
『旋回する表象――鯨津朝子』(斎藤記念川口現代美術館刊)
1997
  『Asako Tokitsu』(アジャン美術館刊)
1998
  『風の回廊――corridor in the wind』(ギャラリー日鉱刊)
1999
  『drawing, in time and space』(ペヨトル工房刊)

[ パブリック・コレクション ]

  斎藤記念川口現代美術館(埼玉)
うらわ美術館(埼玉)
ダイムラー・ベンツ(東京)

[ 今後の展覧会の予定 ]
2004
  2004年4月21日〜6月6日
「アートスコープ ダイムラークライスラージャパン」展
ダイムラークライスラーコンテンポラリー(ベルリン、ドイツ)
2004年6月11日〜7月31日
ダイムラークライスラー本社(Stuttgart、ドイツ)
2004年6月〜7月
個展 SKC(Students Cultural Centre Belgrade)、(ベオグラード市、セルビア・モンテネグロ)
Center for Visual Arts Golden Eye、(ノヴィサド市、セルビア・モンテネグロ)
2004年8月16日〜28日
個展(巷房、東京)



  鯨津朝子ホームページ
http://www.artandcritic.net/tokitsu
原美術館ホームページ
http://www.haramuseum.or.jp/jp/common/doorToArt/index.html

「Out of space─続いてゆく線」
2004年

「Out of space─続いてゆく線」
2004年

「Out of space─続いてゆく線」
2004年

「Out of space─続いてゆく線」
2004年

「Out of space─続いてゆく線」
2004年

「work in progress -stairs-」
2003年

「work in progress -stairs-」
2003年

「work in progress -stairs-」
2003年
空間の星座

鯨津朝子の最近の作品は、美術館やギャラリーの展示空間ではなく、公共空間にドローイングのインスタレーションを行い、しかも会期中に制作が進行し作品が変化していく、というものが多い。たとえば横浜赤レンガ倉庫1号館で2004年3月から4月にかけて行われた展示では、施設の来訪者が一日じゅう行き交う場所で、作品はワーク・イン・プログレス(進行中)のインスタレーションとして公開された。それは一見アトランダムにバラバラにひかれた線が、ある一点に立つと繋がったひとつの図像としてみえるというもので、空間内にはそうしたポイントが幾つも用意されている。しかし鯨津の作品が、錯視や透視図法の方法論に則った、純理論的なものかというと、決してそういうわけではない。彼女の作品が射程に入れているのは、むしろ、人間の身体の知覚が、ある時系列のなかで空間を通り過ぎていくときに、その「場」と自己とが互いの結び付きのなかでそれぞれ固有な、特化された存在であることを露わにしていく、そうしたあらわれの現象なのだ。鯨津の描く線は、空間を経めぐるなかで身体にさまざまに知覚され、重層的な記憶の堆積をつくりだし、観る者の精神はその経験のなかから、線が整合的に集約される場を探り出す。知覚や記憶が、時空の布置を全体として「まさにこれだ」と直観する、奇蹟のような、恩寵のような場――そしてそれは本来、日常に幾らでもあるものなのだが――をつくりだし、改めて認識させるところにこそ、彼女の作品の意味があるのではなかろうか。
鯨津は1995年から毎日ドローイングを描き、その頃から、以前のより具象的要素を残した作品から、線を主体とした作品へと移行している。毎日描かれる線はそのときどきの記憶の痕跡を内包するようになり、だから作品は常に流動的で開かれたものとして、現在進行形のかたちをとるようになったのだろう。作品に対峙する者は、こうした日々時々の、いわば生(せい)の痕跡をみるとき、厳しさ、切実さ、そしてある種の愛おしさや、自己をしなやかに開放していく自由、といったさまざまなものをうけとる。この時空の常にあらたな布置は、わたしたちの知覚と思考の、過去と未来を内包する、空間の星座なのである。
〜 倉林 靖/美術評論家


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