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平田五郎
HIRATA Goro
© 田中良智


[ 略歴 ]
1965   東京都生まれ
1988   東京芸術大学美術学部絵画科(油画専攻)卒業
1990   東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(壁画)修士課程修了
現在茨城県取手市在住

[ 主な個展 ]
1992
  「From Talking Circle '92 平田五郎展」ギャラリー・アート倉庫(東京)
1995
  「平田五郎展 MIND SPACE―4つのとび地―」ストライプハウス美術館(東京)
「平田五郎展―MIND SPACE―」ギャラリー日鉱(東京)
1996
  「THE GARDEN #13 平田五郎 庭園の顕現」INDEX GALLERY(大阪)
「クリテリオム21 平田五郎 Mind Space」水戸芸術館現代美術センター(茨城)
1998
  「平田五郎 Mind Space―空を見るために」ギャラリーαM(東京)
2000
  「平田五郎展」Gallery Q(東京)
「平田五郎展 Mind Space―積木の家」ノブギャラリー(岡崎・愛知)
2001
  「平田五郎展」ノブギャラリー(岡崎・愛知)
2003
  「特別展示 平田五郎」群馬県立近代美術館(群馬)

[ 主なグループ展 ]
1986
  「FROM SOUND 共鳴する美術館」ストライプハウス美術館(東京)
1987
  「音と造形・特別展 音とオブジェたち展」こどもの城(東京)
1988
  「SOUND GARDEN 2」ストライプハウス美術館(東京)['90、'91、'94]
1993
  「サウンドカルチャー・ジャパン ’93 音響展」有鄰館(桐生・群馬)
1997
  「九頭龍展」清州国立美術館および大清湖(韓国)
1998
  「TRACE展―8人展−」ギャラリーSOL(東京)
「超日常―日本現代美術7人展」上海美術館(中国)
「日韓現代美術展―自己と他者の間―」目黒区美術館(東京)国立国際美術館(大阪)韓国文化藝術振興院美術會館(ソウル)
「テイストと探求―1990年代の日本美術」ニューデリー国立近代美術館(インド)マニラ・メトロポリタン美術館(フィリピン)
1999
  「呼吸する風景」埼玉県立近代美術館(埼玉)
「アジアのニュー・インスタレーション」マットレス・ファクトリー(ピッツバーグ・アメリカ)
2000
  「SCALE&SPACE vol.7 ―刻―」ノブギャラリー(岡崎・愛知)
「Gold Frame展」ノブギャラリー(岡崎・愛知)
「Gendai:日本の現代美術―ボディとスペースの間」ワルシャワ現代アートセンター(ポーランド)
「水晶の塔をさがして 現代アートが開く「私」の世界」福岡市美術館(福岡)
2001
  「ヴァイブレーション 結びあう知覚」宇都宮美術館(栃木)
「SCALE & SPACE vol.9 ―Drawing―」ノブギャラリー(岡崎・愛知)
2002
  「三河・佐久島 アートプラン21 佐久島空家計画/大葉邸―緑の庭―」(佐久島・愛知)['03、'04、'05]
「七福 2002展」弁天ギャラリー(佐久島・愛知)
「Temporary Existence」エクス・テレーザ国立現代美術センター(メキシコ・シティ)

[ フィールド・ワーク ]
1988.7〜8
  「蟻の生活」(笠間・茨城)
1989.7〜9
  「燃やされた人」(笠間・茨城)
1989.11
〜1990.1
  「Mind Space」東京芸術大学音楽部グラウンド(東京)
1990.2
  「シェルター」自宅庭(浦和・埼玉)
1991.1〜2
  「Snow House」(簗場・長野)
1991.2
  「開かない門」白神山地(秋田)
1991.8
  「ひみつの通路」湧洞沼(豊頃町・北海道)
1992.4〜7
  「Mind Space」個人宅庭(鎌ヶ谷・千葉)
1993.2〜3
  「Snow House」オンネトー湖(足寄町・北海道)
1993.7〜8
  「Mangrove Ship−緑の船のプロジェクト」(西表島・沖縄)
1997.8
  「8月20日 空を見るために」(清州・韓国)
1998.6
  「風のなかの歩行―砂の家」(トルファン・中国)
1999.1
  「山頂への歩行」(ラダック・インド)
2005.4
〜2005.10
  「INSIDE PASSAGE−月を盗んだワタリガラス」(クィーン・シャーロット島・カナダ〜南東アラスカ・アメリカ)

[ 受賞歴 ]
2004
  五島記念文化賞(美術新人賞)
2005
  創業50周年記念Benesse賞(優秀賞)


Mind Space
1992

Mind Space ― 窓辺の部屋
1999

Mind Space ― 天窓の光
2003

Inside passage ― 月を盗んだワタリガラス
2005

Inside passage ― 月を盗んだワタリガラス
2005

Inside passage ― 月を盗んだワタリガラス
2005


2006

Mind Space ― 箱の中の光
2006
自己への/世界への、遡行の旅

平田五郎の作品の核になっているひとつのキーワードは、月並みな言い方になってしまうかもしれないが、やはり「旅」だろう。彼は「フィールドワーク」と称して大自然のなかに作品を設営し、それを写真記録に収めていく。初期の茨城や長野、秋田、北海道や西表島から、近年長期にわたって行ったアラスカへの旅まで、彼は人のあまり行きかうことのない「奥地」へと、ひたすら憑かれたように地球上を移動していく。たいてい、それらの作品は平田以外に見る者もなく、放置されやがて崩れていき、創作の痕跡は写真以外には残されない。いったいなぜ彼はこのような行為を続けるのか。
アラスカでのフィールドワークは、カヤック等を使いながら、氷河が散在する地域での海岸沿い、あるいは、ある川の源流に向かって、全部で10の作品を設営するものであった。それは、月の誕生に関する次のような神話に基づいている。昔、ある老人が光輝く玉を隠していた。カラスがそれを奪おうと思い、老人の娘の体内に入り込み、その子供となって生まれ、玉を見せてくれとねだった。10の入れ子状の箱に入っていたその輝く球体が現れると、次に子供は空が見たいといって天井を開けさせた。その後カラスは元の姿になり球体とともに空に昇った。球体はいまも天空にとどまり、月になっている。
平田の他の作品、蝋で作られた狭い空間にひとが「胎児のように」閉じこもるかたちのインスタレーション(彼が展示場内に「設営」する作品)と、彼のフィールドワークを結びつけるのは、これも月並みな言い方かもしれないが、それらがどちらも「内的な旅」をも志向している、ということだろう。空間の物理的な移動は精神領域を遡行する旅でもあり、ひとはそこで神話の、あるいは世界の発生現場にたどりつく。彼の、ひとが(もしくは平田だけが)入る形式の作品に、空を見るタイプのものと、蝋に囲まれた空間で自らの知覚に向き合うようなタイプのものとがあるのは、象徴的である。自らに向き合うことによって世界を知ろうとすること、あるいは外部に触れることによって自己を発見すること。これらはひとつのものであって、平田の作品は、今日の世界において、世界と(そして自己と)真摯に向き合う方法を、私たちにひそかに教えてくれているものなのかもしれない。(倉林靖/美術評論)


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